あやとり
優ちゃんから二度目の電話があった。
千春と「バイバイ」をして、優ちゃんのアパートに向かって歩いていた。
空には影の薄い月が見えていた。
優ちゃんのアパートの玄関まで来ると、そこに人影が見えた。
見慣れている学生服、それは私の通う高校の男子のそれと同じ後姿だった。
(誰?)と心の中で叫びながら電信柱にそっと寄り添って身を隠して見た。
あれは……同じクラスの甲斐、君?
振り返ったその顔を見て確信した。
間違いない。
あれは甲斐悠斗だ。
なんでここに居るのだろう。