あやとり
実の姉に対して、自分がこれほど意地悪い考えを持ったことに自分で驚いていた。
今まで、いつも頼って甘えてきていたくせに、とも思った。
でも今は、優ちゃんのうろたえる姿を一度くらい見てみたいじゃない、という邪心のほうが心を占め出していた。
千春の顔を見る。
私に言うより先に、ほかの人に甲斐君が気になると言っていた千春。
別に親友って訳じゃない。
でもあの子達よりはずっと、私とともに居る時間が多かったはずなのに。
居なくてもいい私?
心に闇が広がる。
違う、居てほしいって思われる私、そうでなきゃ。
「思うんだけれど、関心ないんじゃなくて、どうしていいかわからなかったって可能性もあるじゃない?同級生の男の子ってさ、わたしらより考え方、幼そうだし。もし、千春が本気で甲斐君と付き合いたいって思っているなら、わたし、全面的に協力するよ?」
「ほんとう?なんだか優しいね。でも、雅って甲斐君と接点ないんじゃないの?」
「それが、意外なところであったりするんだよね」
千春の表情が明るくなる。
「ほんとう?」
「うん」
私の頼みを断らない優ちゃんが今回ばかりはどうするだろうか。
その日の放課後と翌日の放課後で私と千春は、計画を練っていた。
私は優ちゃんが離れていく喪失感を、千春の恋に協力する形で埋めようとしていた。
それは、優ちゃんを見返すことに繋がるだろう。
何も出来ない妹だと思われていたに違いないから。