あやとり

姉が甲斐君と知り合いだということを話すと口にすると、千春は計画に乗ってきた。

千春は甲斐君と付き合いたい。

私は、家の空気を変えたいという想いもあった。

あんなにも欲しがっていたはずの両親の関心は、いまや私にとって、煩わしいものとなっていた。

両親が私を優ちゃんの代用にしかねないからだ。

優ちゃんが以前のように親の気持ちに応えてくれれば、それも無くなるはずだ。

親の言う見合いを受けてくれるだけでも、きっと家の中の雰囲気は変わっていくだろう。

〈本当にただの知り合いってだけかもしれないけれどね。でも、甲斐君と学校以外での接点ができるじゃない?〉

この言葉で千春をその気にさせることが出来たのはすごいと思う。


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