あやとり

さすがに、先週目撃した、優ちゃんの鼻を摘む甲斐君については、千春には言ってない。

どう考えても、十三も年下の男の子に鼻を摘まれるイメージが優ちゃんにはない。

それは同時に甲斐君が優ちゃんにとってこの上なく特別な存在だということを意味しているのかもしれない。

とにかくはっきりさせないといけないと思った。

スクープの瞬間を押さえるべく、あらゆる可能性を探ろうとしている私の意識の中には、彼女の優等生の正体を見たいということも加わって、優ちゃんを思いやるという部分が欠け落ちていたのだ。

半分面白がってもいた。
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