あやとり
作戦の中で、【ケーキを四つ買って行く】というのを作っておいた。
優ちゃんは、自他とも認めるケーキ好きだ。
好みもはっきりしていて、自分にはいつもレアチーズ系のものを選んでいたのを覚えている。
優ちゃんが週一回家に顔を出していたときも、よくケーキを買ってきてくれた。
先週の優ちゃんの態度からすると、もし、甲斐君と付き合っているとしても、そのことを話してくれる可能性は薄い。
婚約破棄をしてから、まだ三ヶ月程しか経っていなし、歳相応の相手ならともかく十三歳も年下の高校生となれば、あまり公にしたくないだろう。
聞き出せないのなら、この目で確かめるだけ。
いつも、何をやっても優ちゃんには適わなくて、家の中でみそっかす状態だった私が、優ちゃんを動揺させることが出来る。
これは初めてのチャンスで、その機会がこの先、あるかどうかもわからないと思い始めていた私には、妙な気合が入る。