あやとり
嫉妬心
その優ちゃんに対して心の中に根強く嫉妬心が住み着いたことを自覚したのは、小学校三年生のときだった。
楽しいはずの学校行事が多い二学期の最中に、止まらない咳が原因でその年三度目の入院をした。
大学生だった優ちゃんが小児病棟の六人部屋に私を見舞いに訪れたとき、たまたまその場に居合わせた一番若い小児科医が、感動しながら優ちゃんを見つめ呟いた。
「なんて綺麗なんだろう」
ほんの少し、本当にほんの少しだけ、白衣姿のお兄さんのようなその医師に憧れていた私は、子供心なりに複雑な想いを隠しつつ、強がりでこう言った。
「先生に紹介してあげようか?」
「え、いいの?」
「お姉ちゃんは雅の言うこと、なんでもきいてくれるもの」