あやとり

私は怖かった。

まさか、優ちゃんが甲斐君との交際を認めるのではと思った瞬間、嫌悪感を覚えた。

それはきっと顔にも現れていて、薄汚い野良猫を見るような視線を彼女に向けていたかもしれない。

「ふふ、そうよね」

優ちゃんは少し笑って大きく息を吐き、トレイに四人分のコーヒーを載せた。

「さぁ、食べよう。雅が買って来てくれたケーキ」

とびきり明るい声で、私たちに告げた。


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