あやとり
後で知ったのだが、受付は一時間交替で男子と女子一名ずつで担当するようになっていた。
甲斐君の担当の時間に合わせることに成功した千春は上機嫌だった。
私は甲斐君と親しくしている村井和也と同じ時間帯になっていた。
村井君は最近、由美子という彼女と別れたばかりらしい。
相手に対しての希望なんかなかったが、千春に協力すると言いながらも、千春と甲斐君の組み合わせには、ちょっとばかり不愉快になる。
そんな自分に気がついて、何とも不思議でもあったが、自分には甲斐君と二人きりなら優ちゃんとのことをなにかしら聞けるかもしれないという理由があるからだということにして正当化した。
四人で優ちゃんのアパートに行って以来、なんとなく甲斐君が私を避けているような気がしていた。
千春にそのことを話すと「んー、話しかけたら応えてくれるし、別に気にしすぎじゃないの?」と、あっさり言われてしまった。
「雅、あのさ」
「なに?」
千春は少し言い難そうな表情を見せた。
「どうしたの?」
「協力してくれるって言ったよね」
「う、うん」
言ったことは確かだが、優ちゃんのアパートに行く計画を立てただけで、他にはなにも考えてなかった。
「あれって?」
「あ、うん、もちろん協力するよ」