あやとり
「アシェラ?」
「ああ。なんか中近東の海の女神の名前だとか言ってたな。まぁ、実際、芸能人顔負けの美人だし、スタイルもモデルなみだしな。あんなに綺麗なんだから、分からなくもないけれど、ファンクラブっていうのはすごいよな」
聞いているとイライラとしてくる。
そんなこと今、再確認しなくたっていいじゃない。
結局、直哉も普通の男の人たちと一緒なんだ。
直哉が優ちゃんのことを褒めただけで、私は直哉に嫌悪を感じ始めた。
「でもさ、彼女にするタイプじゃないよなって」
「え?」
「雅のお姉さんに対してこんなこと言うのもなんだけれど、完璧すぎて可愛いところっていうのがね」
それは意外な言葉だった。
「可愛げがないってこと?」
「こっちまで完璧じゃなきゃいけないような、ね。だから癒されないような印象」