あやとり
先生が回診に来たときに「先生はあやとりってできる?」と私は訊いてみた。
「あやとり?糸でやる綾取りのことだよね。んー、子供の頃、妹と一緒にしたことがあったかなぁ」
「優ちゃんとは、あやとりしなかったの?」
先生は笑みが引き攣ったようになり「綾取りは子供の遊びだからね」と言った。
この日を境に先生は私に余所余所しくなってしまった。
優ちゃんとうまくいかなかったことで、憧れの先生との間が、ぎこちなくなってしまったことが寂しかった。
心のどこかで(優ちゃんのせいだ)と思った。