あやとり
送られてきたメールの中でいちばん私を眠らせなかったのは、優ちゃんと甲斐君が本当に付き合っていたということだった。
〈別れた〉という言い方をするということは、〈付き合っていた〉という事実があるときだけのはずだ。
何度も寝返りを打つ。
眠れそうで眠れない。
甲斐君が優ちゃんの鼻を摘んだシーンと、彼が優ちゃんのケーキを選んだシーンが蘇ってきた後に、どうしてもあの二人が二人きりでいる光景を想像してしまう。
優ちゃんはもう三十の大人の女だ。
十七歳の甲斐君とどんな付き合いをするというのだろう。
私が知る優ちゃんと、甲斐君が知る優ちゃん……。
嫌だ、なんだか分からないけれど嫌な感じだ。
枕に顔を埋めて、自分が想像してしまう彼らの時間を消し去ろうとした。