あやとり
並んでいる人に手相とパソコン占いのどちらかを選択してもらう。
両方見てもらいたいという人には、先に手相占いの番号札を渡し〈パソコン①〉のカードを渡す。
〈パソコン①〉は、両方の占いをしたい人専用として設置されているのだ。
他の五台のパソコンはパソコン占いのみで使用することになっている。
私たち受付は、それを説明するために居る。
個人的なおしゃべりする暇もあまりないままに受付の仕事だけでどんどん時間が過ぎていく。
何気に村井君の横顔をちらっと見ると、説明をしながら相手に見せる彼の笑顔は、今まで彼に持っていたイメージと多少異なっていた。
いつも教室ではあんなにも子供っぽく感じていたのに、今日はやけに大人っぽくって、そのギャップに動揺する。
列が途切れたときに意外にも村井君のほうから声を掛けてきた。
「中原ってさ、おとなしいんだな」
「え?そうかな」
「教室でもさ、ほかの女子とちと違うじゃん。覚めた目で見ているというかあまり感情を出さないっていうか、まぁそんな感じに見える」
私を客観的に見ていた男子がいるのは驚きだった。