あやとり
思考
甲斐君の言葉は日が経つにつれて、より私に考えさせた。
文化祭のあの日、甲斐君もそして、村井君もいつもよりずっと大人に見えたのは事実だ。
みんなの前で大げさに恋や夢を語るクラスメイト。
一対一で話しているときにポツリと語る想いの一片。
今までは気にも留めていなかったけれど、みんなそれぞれを自分で考え、決断し、何かを見ようとしているのかもしれない。
自分はみんなより大人びているつもりでいたけれど、本当のところはどうなのだろう。
短大を出た後は普通にOLをして、結婚して……それが夢って訊かれたら、そこで頷くのだろうか。
大人のように覚めた振りをして、現実を理解しているような顔をして、ただ何も考えようとしていないだけなのかもしれない。