ボディガードの彼

3.真夜中の語らい

「新しいアンドロイドは、どうだ?」


パパがあたしに訊く。
夜中の12時。
パパは国家の元首として忙しいので、滅多にお話することができない。


「ロイのこと? うん。今日、さっそく助けてもらっちゃったよ!」

「そうか。本田から詳細は聞いているが…、アンドロイドの研究には、これからも予算を投入していかんとな」

「でも、パパ。あのアンドロイド、変ね。睡眠時間も必要なのね」


ロイは、夜10時に、あたしにおやすみなさいを言って、寝室にこもってしまった。


「うむ。製作者によると、充電時間が必要らしい」

「ほんとに、人間くさいわねー」

「それはそうだろう。あのアンドロイドは、製作者そのものらしいからな」

「へぇええ?!」

「姿形だけでなく、性格や記憶まで同じらしい。ボディガードに人間らしさは要らないというのに、変わり者の研究者がいたものだよ」


パパは、ネクタイをゆるめ、ブランデーをとくとくとグラスに注いだ。


「でも、あたし、ロイのこと、気に入っちゃったなー」

「そうか。製作者のロイ・ハディソンに伝えておくよ。さぞかし喜ぶだろう」


パパは、グラスを傾けて、小さくあたしに微笑みかけた。
あたしは、パパが疲れているんだなと思って、すぐに部屋を退散した。
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