ボディガードの彼
「はじめまして。これから、護衛を勤めさせていただきます、ロイ・ハディソンです」

「あきれた。ラストネームまであるの?」


あたしは、マーマレードつきのトーストを、熱い紅茶で飲み下しながら、言った。


「私の生みの親が、そういう名前なのです。彼は、優秀な科学者だ」

「へえ、そう。ともかく、ロイ。これからよろしくね」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


ロイは、深々と、あたしに頭を下げた。
アンドロイドとはいえ、とてもよくできている。
これが、本物の人間じゃないなんて、とても信じることができないくらいだ。


「それでは、お嬢さま。そろそろ、まいりましょう」


カチコチ頭の本田が言った。
あたしは、食べ切れなかったトーストを、片手に持ったまま、真っ黒なシールドを張られた、ごつい高級車に乗った。
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