ボディガードの彼
「杏奈、SPはみんな、冷たくて非人間的でやだって、言ってたじゃない。杏奈は、人間くさい人が好きなんでしょ?」


うっ…と、あたしはこのとき、ロイが人間じゃなくてアンドロイドなんだってことを、思わず言いかけた。


が、それを言うと、ますます周りが「最新鋭のアンドロイドを使えるなんて、いいわねー!」

と今度は、羨望ではなく、やっかみの言葉が飛んできそうだったので、このことを言うのはやめておこくと思った。


それにしても…。人間よりアンドロイドの方が、人間くさいって、どういうことなんだろ。…


――「お嬢さまの通う学校は、この国の要人の子息令嬢の集まるところですから、セキュリティーも万全、ひとまず、私がいることもないでしょう。私は、学校が終わった頃に、また校門でお待ちしております」


さっきの別れ際、ロイは言った。


「待っててくれるのね?」

「はい。何かあれば、もちろんすぐに駆けつけます」

「ありがと」


あたしは、長い髪をゆらしながら、学校へ入っていった。
ロイは、その姿を、じっと見つめてくれていたような気がする。
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