今宵は天使と輪舞曲を。

 昨夜の出来事を思い出せば胸が張り裂けそうに痛み出す。
 目頭が熱い。ラファエルの心ない仕打ちのおかげで、メレディスはあまりにも自分が惨めに思えた。
 涙が込み上げ、視界が歪む。

 昨夜はどうやって帰宅したのかさえも覚えていないほど、彼女の心はぼろぼろに打ち砕かれてしまっていたのだ。

 軋むベッドに体を沈み込ませ、咽び泣いた翌朝、メレディスが目を覚ましたのは小鳥のさえずりなんて優雅なものではない。叔母のけたたましい罵声だった。


「メレディス、これはどういうことです!!」

 メレディスは叔母にたたき起こされると、ゴシップ誌のひとつを目の前に突きつけられた。

 そこにはラファエル・ブラフマンと会場を出たことや、庭で何やら親密な言葉が交わされていたことが書かれている。

 なんということだろう。夜が明けて間もないというのにもうゴシップになっているなんて!!

 メレディスはあまりにも早い記事の出来上がりに口から心臓が飛び出るほどの恐怖を感じた。涙で歪んでいた目を乱暴に擦ると叔母から記事を奪い取る。

 あまりの彼の人気ぶりに怒りが込み上げてくる。

 メレディスは眉間に深い皺を刻ませ、鼻を鳴らした。

「メレディス答えなさい!!」

 本人はとても深く傷ついているのに誰も労ってくれない。
 忙しなく問い質してくる叔母にもうんざりだ!


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