今宵は天使と輪舞曲を。
ええ、そうよ。彼だってわたしがいたことなんてすぐに忘れる。今は女性に興味なんてなくても、格式あるブラフマン家を切り盛りしなくてはならない。いつかは生涯を共にする伴侶が欲しくなり、身を固めるに決まっている。そうなれば彼ほどの完璧な容姿をした男性だ。きっと評判の女性を手に入れる。
けっして何の教養も持たない没落した貴族の娘などではなく、見目麗しい高貴な女性を傍らに置くだろう。
今は未だ見ぬラファエルの側に寄り添う女性を想像するメレディスは目を閉じる。
胸に微かな痛みが走ったと感じたのはただの気のせいだ。
メレディスは、ブラフマン家に向かうのはキャロラインに会うためだと自分に言い聞かせ続けた。
《人生とは生まれながらに決まっているもの・完》