今宵は天使と輪舞曲を。
§ 05***望まぬ再会。
どうしよう。道に迷ってしまったわ!
開けた視界に広がるのは青い湖ばかりだった。
小屋なんてどこにも見当たらない。
暫く馬を走らせてみたものの、獣道すらなかった。
大好きな馬に乗ることができた解放感でいっぱいになっていたのがいけなかった。今頃は目的地に着いたキャロラインやブラフマン伯爵は姿を現さないメレディスを心配していることだろう。
メレディスは馬から下り、艶やかなたてがみを撫でながら視界をうろうろさせていた。
それにしても、頬に風を切る感覚や清々しい緑の香りを楽しんだのは本当に久しぶりだった。
――とはいえ、今は心配する二人の元へ辿り着かなければならない。けれどもメレディスはこの地にやって来たのははじめてだ。どうやって小屋を見つければいいのかわからない。途方に暮れていると、釣り竿を持った男性がちょうどこちら側に向かって歩いていくるのを見つけた。
メレディスは目を凝らした。そして彼が誰だか分かると、胸が締めつけられる感覚に襲われた。
肩まである茶色味を帯びた金髪は午後の明るい日差しを受けてほんの少し明るみを帯びている。すらりとした長い足に広い肩幅。ラファエル・ブラフマン。相変わらずの美丈夫だ。水面に反射する陽光はまるでダイヤモンドのように彼の周囲を輝かせ、さらに美しく魅せている。
けれどもメレディスは彼が見せかけだけではないことを知っている。引き寄せられた時の腕の強さ。首筋を撫でた時の繊細な指の動き。それに薄い唇は弾力があった。