今宵は天使と輪舞曲を。
男性らしい大きな手に骨張った長い指がメレディスの繊細な指の一本一本に触れる。触れられた指先から微弱な電流が生まれた。
親指の根元から指先へ、そして小指の先へと触れられた箇所に与えられた甘い痺れはやがてみぞおちを刺激すると全身に広がっていく。
メレディスは彼から与えられる甘い刺激にうめいてしまいそうになった。口を閉ざし抗う。
視線を感じて顔を上げると、エメラルドの瞳とぶつかった。
彼の目はなんて綺麗なのかしら。
この森の中よりもずっと深い色をしている。吸い込まれそうな緑は光を失い、メレディスを虜にする。
「メレディス……」
男性特有の低い声は甘く痺れているメレディスのみぞおちに熱を灯らせる。深い緑の目がメレディスを捉えた。
抗えない。
メレディスは美しい彼にすっかり見惚れてしまった。息をのんだのも束の間、弾力のある唇に塞がれた。
メレディスの人生で口づけはこれで二度目だ。
残念ながら貧しい暮らしを虐げられているメレディスは男性との関係を持ったことがない。当然、男性と口づけを交わすことさえ初めての経験だ。それなのに、なぜかラファエルとの口づけは少しも怖いとは思わなかった。それどころか歓喜に胸が震えた。
メレディスはラファエルしか知らない。けれどもなぜだろう。彼とこうして過ごしていることがとても安心する。何もかもに守られているような気にさえしてくれる。