今宵は天使と輪舞曲を。
メレディスはすべてを忘れ、ただ彼との口づけに夢中になっていた。自分が何者でどんな生活を強いられているのかさえも考えられないほど、彼にのめり込んでいた。
ラファエル・ブラフマン。緑色の目をした長身の男性。茶色の髪に入り交じった金髪を持つ、美しい彼に――。
ラファエルはとても美しかった。陽光はまるで彼を讃えるかのように光の輪郭で彼をなぞる。ほんの少し発光していて、まるで彼はこの世界の住人ではなく、トビト記に語られる四大天使のその人のようだ。
「ああ、ラファエル」
メレディスはたっぷりとした彼の髪に指を絡め、うめきながら彼の名を呼ぶ。彼のたくましい胸板にその体を預けた。彼女はこうやってラファエルに抱きしめられることで、自分が女性であるという事実をとても誇らしく思った。そして彼との口づけが永遠に続くことを願っていた。
けれども彼は違った。
「メレディス、これ以上はいけない」
ラファエルの苦痛にも似た低い声がメレディスの耳を掠めた。その瞬間だった。彼女は情熱に浸っていた自分が何者なのかを思い出した。メレディスは息をのみ、目を瞬いた。
わたしはなんということをしでかしてしまったのだろう。
「わ、わたし……」
紳士に迫るような真似をしてしまった。これでは娼婦のようではないか。メレディスは愕然として身を震わせた。
自分は今、彼の膝の上に乗っている。しかも自ら体を押しつけるようにして――。紳士の上に乗るなんて、なんてふしだらな姿だろう。