今宵は天使と輪舞曲を。
羞恥に襲われたメレディスは体をひねる。するとラファエルは突然苦しそうにうめいた。
「頼むから少しじっとしていてくれ」
メレディスはラファエルが今どういう状況になっているのかうまく理解できなかった。
「君が欲しくてたまらないんだ」
苦笑を漏らしながら説明すると、メレディスはようやく彼がどういう状況になっているのかを理解した。
「あ、あの。わたし……」
「君の口づけはぼくを虜にする」
メレディスは羞恥に頬を染めた。もうどうしていいのか分からない。彼の体と自分の体を遮るように両手を置けば、手のひらから心臓の鼓動が伝わってきた。
ラファエルが息をのみ、呼吸を整える。彼女の腰にはまだ彼が大きく息づいていた。ラファエルを感じるだけで、メレディスの呼吸は荒くなる。心臓が破裂しそうなほど大きく高鳴っていた。
「落ち着いて。大きく息を吸って、ゆっくり吐くんだ」
ラファエルのしっとりするような声がメレディスを誘導する。彼の親指が濡れた頬をそっとなぞった。
「わたし……」
メレディスの唇が動く。
だけどわたしは何を言おうとしているの?
メレディスには自分が何を口走ろうとしているのか彼女自身理解できずにいた。
何を言うとも分からない唇を、頬を撫でた親指が触れる。彼女の下唇をゆっくりなぞった。
「メレディス、君はとても綺麗だ」
彼の薄い唇がゆっくり近づいてくる。甘い吐息が彼女の唇に触れる。メレディスがうめきそうになった時、どこか遠くの方で聞いたことのある声がした。
「よかった。やっぱりここだったのね」
ー望まぬ再会・完ー