今宵は天使と輪舞曲を。
「何にせよ、貴女の価値はきっとラファエルが教えてくれるわ」キャロラインの言葉に顔を覗き込めば、にっこり笑みを浮かべた。
「それよりもわたしは貴女の体が心配よ、スープだけでも飲んでね。おやすみなさい」
キャロラインは言いたいことを言うとメレディスの返事を待たずにベッドから腰を上げ、部屋を出て行った。
キャロラインの言うとおり、ラファエルは利用するために近づいたのではないのかもしれない。
両腕を体に回せば、彼を求めていることが容易に分かる。澄んだ緑の目は光を失い、ただひたすら彼女を見つめ、貪欲にメレディスを欲していた。それは男性が女性を誘惑する時の視線に違いなかった。
彼女の体に触れた骨張った指。頬に触れた甘い吐息。それにスパイシーな肌の香り。彼との口づけを思い出すだけでも胸が苦しい。
彼と話すようになってほんの数日だが、メレディスはラファエルといると自分がどういう状態になるのかを充分すぎるほど熟知していた。彼はいつだって彼女の体に熱をもたらす。そして今夜、自分は彼を求める余り、きちんと眠りに就けないだろうことも――。
《本当にそう思う? ・完》