今宵は天使と輪舞曲を。

 メレディスは部屋に入るとドアを閉め、ほっと息をつく。

 これから彼に会いに行くのだ。

 いけないことをしているような気持ちになりながら、それでも今からラファエルと過ごす時を考えると胸の高鳴りを感じた。期待と不安が入り交じり、心臓が大きな鼓動を繰り返す。

 メレディスは馬が大好きだった。厩舎を見せて貰えるのはとても心が弾む。しかもラファエルというハンサムな紳士も一緒だ。
 今日は彼とどう過ごすのかと想像すれば、昨日の出来事が脳裏に浮かぶ。体が熱を持ち、ボタンを持つ手が震えた。メレディスは思考を取り戻すために首を左右に振ると、裾がよく開く乗馬がしやすいドレスに着替えると、静かに部屋を出た。





《隠しごと。・完》
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