今宵は天使と輪舞曲を。

 メレディスは締めつけられるのを嫌っていた。だから身だしなみのひとつとして貴婦人が身に着けているコルセットを着ておらず、身に着けているものといえば、ドレス一枚だった。

 けれども今日、メレディスがコルセットをつけなかった理由はそれだけではなかった。


「ここ、尖っているね、こういうことを期待していた?」

 ラファエルは生地の上からメレディスの尖った頂を摘まむ。尋ねる彼の薄い唇の端が意地悪く上がっている。


 ――図星だった。
 たしかに、ラファエルに触れられるかもしれないという淡い期待もあったのだ。メレディスの体がびくんと跳ね上がる。

 しかし彼の言うとおりだと頷くのは癪だ。メレディス本人でさえも何を言い返すのか見当もつかないが、とにかく強がりを言いたくて口を開けると、言葉の代わりに甘い声が飛び出した。

 それというのも生地の上から食んだからだ。

 メレディスの華奢な腰が芝生の絨毯から跳ねる。

 ラファエルは女性がどこをどのように触れれば悦ぶのかを十分熟知している。おかげでメレディスの下肢は疼きっぱなしだ。

 昨日よりももっと強くラファエルを感じたい。
 メレディスは腰を揺らした。
 堪えきれず、彼の後頭部に両手を回す。もっと触れてほしいと両足を広げ、彼の腰に絡ませる。

「美しいよ……」
 うっとりとした視線で彼は組み敷くメレディスを賞賛する。

 彼の言葉だけで、メレディスはまるでこの世界の女王様にでもなった気分になる。
 口づけを越えたこの先にいったい何があるのだろう。
 メレディスはすすり泣き、腰を揺らした。


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