今宵は天使と輪舞曲を。
§ 15***甘い余韻。
今日という日はあまりにも色々なことが起こりすぎた。
――今日だけではない。ラファエル・ブラフマンといるといつも想定外のことばかり起こる。
半ば夢現のように頭の奥が霞みがかった状態のメレディスは部屋に入るなりうつ伏せになってベッドに倒れ込んだ。
彼に触れられたあらゆる箇所がじくじくと熱を放ち、体が上気しているのがわかる。今日という日は春めいた穏やかな気候であるものの、まるで自分の周りだけが夏場のようだ。
とくとくと鼓動する心音を聞きながら目を閉じれば、脳裏に浮かぶのはやはりラファエルのことばかりだった。
領民に愛されているラファエルを見たメレディスは、普段から彼がどれだけ仕事に対して責任感や情熱を持っているのかが十分に窺えた。あれから厩や牧草地などさまざまな場所を案内して貰えたが、誰ひとりとして彼を悪く言う人間はいなかった。それは普段、家族から惜しみない愛を与えられてきたのだろう。
メレディスは誰からも愛されている彼を誇らしく思った。
――いや、ラファエルの家族や領民だけではない。メレディスもまた、彼に惹かれている。その証拠に、ピッチャー男爵に触れられたり、あまつさえ視線を向けられただけでもあんなに生理的に受け付けなかった体が、ラファエルが相手だとすんなりと受け入れられた。
それどころではない。もっと触れられたい。もっと口づけられていたいと思ったほどだ。
耳元でメレディスを賞賛する彼の声が頭から離れない。