今宵は天使と輪舞曲を。
彼の言葉は神の言葉のようにも感じられるほど、メレディスにとってはとても偉大で、とても大きなものだった。
別れ際にキスされた時にまた会う約束を交わしたメレディスの心は大きく浮き立った。
――遊ばれている。
ヘルミナはそう口にしたが、メレディスはキャロラインの言うとおりだと思った。たしかに、彼のことを知らなかった以前はメレディスもラファエルは暇つぶしで自分と一緒にいるのだと疑った時はあった。けれども今日、見ていた光景はメレディスが思い描いていたような人物とはまったく正反対で、誰に対しても、どんな時であっても紳士な彼が女性相手に遊ぶような人間ではないと断言できた。
それを垣間見たのは、彼がメレディスの体裁を気にしてくれた点だった。
ラファエルと馬を走らせに丘へと向かったあの時――彼に押し倒された。彼はたしかに何か欲望めいたものを持っていた。いつもなら穏やかなエメラルドの目は深い森の奥にいるような濃いグリーンへと変わっていた。両胸を彼に触れられ、下肢が疼いたメレディスはみぞおちの奥に熱が宿るのを感じ、彼に何かを求めていた。ラファエルが何をしたがっているのかはよくわからなかったが、それはメレディスにとってとても重大な何かであることは理解できた。
それでも――メレディスはたしかにあの時、彼に何をされてもいいと思ったし、その先に何があるのかも知りたかった。
けれども彼は自分の欲望を制してメレディスを守った。ドレスを脱がせ、生まれたばかりの姿にさせることも可能だったのに、それさえもしなかった彼には強い意思と、そしてメレディスを尊重する男性らしい優しさを感じ取った。