今宵は天使と輪舞曲を。
今日の彼女もまた可憐な姿だった。後ろに束ねた茶髪は丁寧に巻かれていて、グリーンのドレスは彼女の目を引き立てる。両目の下から鼻にかけて散っているそばかすもまた、彼女の愛らしい姿を讃えていた。
心なしか彼女はとても楽しそうだ。
兄弟二人と食事するのが嬉しいのだろう。たしかに、今メレディスが両親に会えると言われたらとても嬉しいと思えるだろう。心も躍り、躍動感に溢れて鼻歌さえも歌ってしまうことだろうと思った。
けれども自分はこの屋敷でも厄介者にすぎない。況してや、猪に襲われるどころか二人組に拐かされそうになったのだ。平穏な日々を台無しにして事件を引き起こした疫病神に対して誰もいい顔をするはずがない。
「――ええ」
キャロラインとは対照的にメレディスの心は沈む。返事はため息と一緒に出る始末だ。そんなメレディスの心中を察したキャロラインは、彼女の背中を優しく叩き、大丈夫だと言い張ったが、メレディスは生きた心地はしなかった。
しかし、実際一階の広間に向かえば、メレディスが思っていたより周りの人間の反応はそこまで悪いものではなかった。
まず、メレディスを見るなり席を立ったのはラファエルだ。彼はこちらまでやって来るとメレディスの手を取り、椅子を引いて自分の隣に座らせた。続いてグランはキャロラインを迎え、メレディスの隣の席の椅子を引く。
メレディスはラファエルの手が背もたれの部分に触れているのが分かった。たったそれだけのことだ。