今宵は天使と輪舞曲を。

 彼は目の前にいる貴婦人たちが主の屋敷に入る資格を持つ者かどうかを見極めようとしているのか、メレディスたち四人に目を走らせた。エミリアが気難しそうな家令に招待状を見せると、彼は頭を下げ、ほんの少しだけ口元を緩めた。それから彼はエミリアたちが今夜最後の客人だと伝えると、中へ入るよう促した。


 外観も美しいとは思ったが、屋敷内もまた目を見張るほどの美しさがあった。無数に光を放つ美しいシャンデリアがまっすぐ伸びている廊下の天井に並び、空間を煌びやかに照らしていく。美しい光に案内されるがまま歩を進めると、ようやく会場に辿り着いた。


 中に入るとまず出迎えてくれたのは廊下よりもいっそう明るい照明だった。

 メレディスは二年間の間にたくさんの会場を目にしてきたがここまで華やかで落ち着きのある場所は初めてだった。

 壁は白で統一されていて、床は分厚いカーマインレッドの絨毯が敷かれている。天井にはけっして大きくもなければ小さすぎもしないシャンデリアが間隔をもって配置され、それぞれは互いに散りばめられている小さなガラスのつぶてによって虹色に輝いている。

 この空間を見ただけでも分かるのは、ブラフマン家はとても社交的で、そして華やかでありながら品のある雰囲気を好んでいるということだ。


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