今宵は天使と輪舞曲を。
ダイヤモンドのように反射する水面に負けないくらいの、金色の髪は透けるように輝いていた。
「やあ、メレディス。待っていたよ」
メレディスの足音に振り向いた彼は微笑を浮かべていた。この湖の壮大な美しさと相俟って、彼の洗練された美しさが増す。僅か数時間前に会ったばかりなのに、胸の奥に懐かしさが込み上げてくるのは何故だろう。
「来てくれて嬉しいよ」
微笑を浮かべる彼もまた完璧だ。
メレディスは頬に熱が灯るのを感じて視線を落とした。すると彼の手が伸びてきて、メレディスの顎を掬い上げた。
「まだ顔色が悪いね」
彼はいったい何と言ったのだろうか。あまりにも彼の容姿が完璧すぎてメレディスの胸が高鳴り続けている。おかげでラファエルが何を言ったのかさえも聞き取れずにいた。
彼のエメラルドの目は淡い光を纏っている。吸い込まれそうなほど澄んでいた。メレディスは甘いため息をこぼし、目の前にある美しい双眸に見惚れてしまう。
「メレディス……」
薄い唇がメレディスを呼べば、胸が大きく跳ねた。
みぞおちが疼き出す。
メレディスは甘く呻いた。
彼の手によってメレディスの顔に落ちた髪が払われる。
視線が重なれば、逃げることなどできない。目の前にいる美しい男性にすっかり魅了されてしまう。
たくましい手が骨と皮しかない自分の腰に触れる。分厚い胸板に引き寄せられれば、ますます体に熱が灯った。
果たしてこの心音は誰のものだろうか。メレディスか、ラファエルか、あるいは両方か。
メレディスは甘い誘惑に抗えきれなかった。
彼の吐息が頬に触れる。目を閉じ、やがて与えられるだろう口づけを待った。