今宵は天使と輪舞曲を。

 大粒の涙が零れ落ち、クリアになった視界にいたのは、厩舎にやって来るほんの少し前に垣間見た、決意の隠った真摯な目だ。

 ――彼の視線は真っ直ぐに射抜いている。

 同情なんかではないことはすぐに理解できた。
 それは自分に口づける時に何度も見た、貪欲にも自分を欲する時の深い緑の目がそこにあったからだ。

 ――ああ、彼は本気なのね!


 メレディスはもう自分の気持ちに抗えなかった。
 彼の行動力やおおらかさ。そして何より、身分違いを気にせず忖度なく寄り添ってくれる真摯な人柄にすっかり溺れてしまっている。
 彼との口づけを思い出すだけでも胸が熱くなる始末だ。

 もし、できることなら、ラファエルが自分にしてくれたように、彼が辛い時や悲しい時に寄り添い、共に生きていきたい。

 わたしは彼を心の底から愛しているのね……。

 メレディスはラファエルに揺るぎない愛を感じた。

 同意のしるしに彼の肩に頬を寄せ、両腕を首に巻きつける。

 メレディスは、ラファエルに優しく抱きかかえられると、クイーンのあたたかな視線に見送られ、厩舎を後にした。



《恋心と戸惑いに揺れて。・完》
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