今宵は天使と輪舞曲を。
「ブローチも、クイーンも。探すのはとても大変だったでしょう? お金だってきっとわたしが一生かけても手に入らないくらいの大金だったはずよ……」
メレディスは息遣いが落ち着いたのを見計らって、そっと口を開いた。
彼の腕はメレディスを包み込む。その力強さは何者からでも守り抜いてくれるような気高さと力強さがあった。
メレディスは彼の胸板に頬を擦り寄せ、守られている感覚に幸福を感じた。
「実は、君の大切な馬もブローチも探すこと自体は差ほど大変でもなかったんだよ。ぼくは馬が好きでね、とある侯爵から白馬を見たという話を耳にしていたから。ぼくは真っ先に君が語ってくれた過去の話を思い出したんだ。間違いなくクイーンだと確信したよ。だが、伯爵家のぼくが赴けば価値ある物と断定されてしまい、商人が手放してくれないと思ってね、そこでアルバーに手伝って貰うことにしたんだ」
そこでラファエルはこの一件を口にすることによって場の雰囲気が崩れ去ってしまわないかを懸念したようだ。眉間に深い皺を刻み、一度口を閉じた。
「彼女、とても綺麗なのに気さくよね、素敵な方だわ」
「君とは気が合うと思うよ、彼女もとても勇敢な女性なんだ」
見上げれば、エメラルドの目がメレディスを写し出す。
彼の目に自分が写し出されていることが、何よりもとても嬉しかった。
メレディスが微笑を浮かべて頷けば、どうやら話しても大丈夫だと受け取ったのだろう。ラファエルは口を開いた。