今宵は天使と輪舞曲を。
「親戚のベオルフは浮気癖があってね、アルバーは彼の本命の恋人なんだが、毎度繰り返される行為に堪忍袋の緒がとうとう切れたんだ。流石のベオルフも危機感を覚えたらしい。仲直りのシルシに珍しいものをプレゼントしたいと言い出したそうなんだ」
「それって、もしかして――」
「そう、君の牝馬クイーンだ。ベオルフはまさに君の牝馬を商人から買い取る算段をつけているところだったんだよ。しかしアルバーはこんなことを続けていてはお互いに身を持ち崩すと思ったんだ。そこでぼくが彼女の相談を受けたんだ。ベオルフにはぼくから二度と浮気をしないよう説教をする代わりに、そのプレゼントをぼくに譲ってもらえないかという条件付きでね――。その後、商人からまだブローチも買い手が見つかっていないということも聞きつけた。数日前にやっと手に入れたんだ」
メレディスは驚いた。自分との連絡が途絶えた三日間は、実はクイーンとブローチのために動いてくれていたのだ。
「君がぼくと彼女が抱き合っているのを目撃したのは、たぶん商談が成立してクイーンを引き取った時なんだと思うんだが――」
「ごめんなさい、嗅ぎ回るつもりはなくて……ただ、わたしは貴方にとって遊ばれていると思ったの」
「ぼくが?」
片方の眉根を下ろし、彼は惚けたように尋ねた。
それは彼自身が有り得ないと思っている証拠だ。
メレディスは深いため息をつき、疑ったことを謝罪した。