今宵は天使と輪舞曲を。

 思ってもいなかった本人を前にして恥ずかしい言葉の数々を打ち明けてしまったメレディスは羞恥に震えた。
 恥ずかしさのあまり顔を背けてしまう。

「メレディス……」
 彼の低音がみぞおちに響く。
 その声音はあまりにも官能的で、たったそれだけでも呻いてしまいそうになった。しかしこれ以上の醜態を晒すのは苦しすぎる。唇を噛みしめ、かろうじて声を漏らさずにすんだ。
 いくら愛を交わしたからといって、ハンサムなラファエルと過ごす耐性ができたわけではない。

 落ち着きのないメレディスに対し、ラファエルはいつもながらに優雅な身のこなしだった。彼は流れるような仕草で両肩に触れ、体が向き合ったのを合図にメレディスの頬に手を伸ばすと自らの唇でメレディスの口を塞いだ。

 それから彼はゆっくりと身体を傾けた。
 気がつけばメレディスはベッドの上に寝転んでいて、目と鼻の先には整った双眸があった。

 骨張った手が女性らしい膨らみに触れる。その手はメレディスの体の曲線を確かめるようにゆっくりと動いた。
 男性らしい骨張った大きな手が胸にあるふたつの膨らみを包み込む。強弱をつけて触れられると、彼女の敏感な部分が尖ってくる。

「ラファエル、まだみんなが起きているわ」
 狼狽えるメレディスを余所に、彼は微笑を浮かべた。
「なら、声を出さないようにしなきゃね」



《勘違い・完》
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