今宵は天使と輪舞曲を。

§ 04***決意。




(まさかラファエル・ブラフマンにプロポーズされる日が来るなんて!)

 昨日の出来事は本当に起きたことだったのだろうか。
 メレディスは半ば夢見心地のままベスに誘導されてどうにか支度を済ませた。ベスが部屋を出てから暫くすると、まるで用意が整ったのを見計らったかのように、ドアをノックされた。そのノック音は控えめでありながらもメレディスに対して意見したいのか、強めだった。
 相手はデボネ家の人間ではないのはよく分かる。なにせエミリアやジョーンはブラフマン家兄弟を射止めることに躍起になっている。次女のヘルミナは引っ込み思案で自分からは滅多に発言しないことを考えれば、このノック音の心当たりは彼女しか考えられない。

「昨日はいったいどういうことなの?」
 メレディスがドアを開けるなり、キャロラインは挑むような口調で問うた。
 綺麗なブロンドと同じ色の細い眉はつり上がっている。見るからにご立腹だ。
 それもそのはず、彼女とは夕食後にラファエルとの関係がどうなったのかを話す約束をしていたにも関わらず、メレディスはその約束を破ったのだから……。
 とはいえ、昨夜は殆ど不可抗力に近い。だってラファエルと一緒に居たのだ。それも、親友には到底見せられない姿で、だ。
 まさかキャロラインの兄と隣の寝室で愛撫されていたとは言えるわけもなく。メレディスは何と打ち明ければ良いのかわからずに口を噤んだ。するとどうやらキャロラインの方もメレディスの様子が常と違っていることに気が付いたようだ。


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