今宵は天使と輪舞曲を。
「やあメレディス、体の具合はどうだい?」
ラファエルとまた会えるのは嬉しいが今だけはけっして望んではいなかった。
メレディスは唇を引き結び、小さく首を振った。
「メレディス、具合が悪いの?」
ラファエルの言葉を受けて目が赤い理由が体調のせいだと思ったキャロラインはメレディスの顔を覗き込んだ。
「え、ええ。そうなの。実は――」
そこまでは良かった。メレディスはできればラファエルにはそのまま体調が優れないということにしておいてほしいと心底願い、ラファエルと視線を合わせた。
普段であるならば、彼はとても周囲を気遣える男性で、繊細な一面も持ち合わせている。だからきっとメレディスの会話に同意してくれると期待していた。
しかし、ラファエルの表情は何かを企んでいるかのような雰囲気をしていた。
「昨日は無理をさせてしまったからね」
にっこり微笑む彼はまるでこの光景を楽しんでいるとしか思えない。
なぜ、今この場でそれを言うのだろう。
メレディスの背筋が伸びる。
「えっ? 何? 昨日? どういうこと? まさかわたしと会ってくれなかった理由ってひょっとして……!」
赤面するメレディスはもうキャロラインの顔をまともに見ることができずにいた。
「昨日、ぼくとメレディスは愛し合ったんだ」
「まあ!」
なぜラファエルはこうも簡単に話せるのだろう。
メレディスはラファエルを恨みがましく睨んだ。
メレディスは、ラファエルとの仲をしっかり確信できるまで、もう少し昨日の出来事を秘密にしておきたかった。