今宵は天使と輪舞曲を。
実のところ、メレディスはラファエルの気が変わることを恐れていたし、キャロラインにしてもラファエルとの仲を取り持とうと応援してくれたとはいえ、彼女の気が変わって没落貴族とはやはり不釣り合いだと反対されるのが怖かったのだ。
何より、メレディス自身がラファエルと一緒になれること自体が信じられずにいた。
「メレディス、どうして教えてくれなかったの?」
詰るように話すキャロラインに、メレディスは何も言えずに口ごもる。するとキャロラインはうんうんと頷いた。
「そうね、どこかの誰かさんとは違って、軽はずみに言えるわけがないわよね」
当初のことを思い起こせば顔から火が出るくらい恥ずかしい。
身体も熱を持つのは羞恥と、それから目の前にラファエルがいるからだ。
こうなるとすべての元凶が彼にあるとしか思えなくなる。
「続きは食事の時に話そうと思っている。いいね、メレディス?」
「ええ、そうね。言わなければいけないわね」
メレディスは詰めていた息を大きく吐き出すと、渋々頷いてみせた。
皆に言ったところで反対されるのは分かりきっている。だから誰にも打ち明けたくはなかった。けれどもラファエルとは避妊具を用意するのも忘れて愛し合った。自分の体内に新しい命が芽吹いてもおかしくはない。
自分の体内に新しい命が宿る可能性を想像するだけでも女性としての喜びが心を満たす。たとえ今はそうではなくても未来にはラファエルとの子供が授かる可能性は十分にあるのだ。そしてその未来は近いかもしれない。