今宵は天使と輪舞曲を。
メレディスは無意識にも両手をお腹に回し、包み込んだ。
メレディスだってラファエルを愛している。もう自分の本心から背けて生きていくことはできない。
いつまでも逃げ切れる内容ではないのだ。
そもそも、メレディスは叔母から無惨な仕打ちを受けているものの、昔は自分の意思に忠実な性格だった。自分で決めたことは必ずやり通す覚悟は幼い頃からすでに確率されている。
それは生前の父親には凛々しいお姫様だと言われていたほどに――。
「大丈夫、両親にはぼくが納得させるよ。というか、父も兄も同意してくれているから後は母さんだけなんだ」
「わたしだっているわ! お母様には反対なんてさせないわよ。大体、わたしがメレディスを呼んだのよ。兄さんの口からでも二人がそういう関係になったのなら一番に教えてくれても良さそうなのに!」
キャロラインは腰に手を当てて声を上げた。
彼女が怒るのも無理はない。だって昨日、キャロラインと会う約束を破ったのはメレディスなのだ。
「ごめんなさい。昨日戻った時は丁度夕食時で、わたしは部屋にいたの」
「ぼくと一緒にね」
罪悪感に苛まれ、心から謝罪するメレディスを余所に、ラファエルは続けて口を開いた。もし、彼がメレディスに助け船を出すつもりで言ったのなら大間違いだ。なにせ今は朝だ。不謹慎にもほどがある。ブラフマン家ともあろう紳士淑女が口にして良い話題ではない。
メレディスはラファエルを睨んだ。