今宵は天使と輪舞曲を。
§ 05***反対と提案。
「昨日はどうしました。ディナーに出ないのなら出ないと言伝する必要があったはずですよ。特にラファエル、貴方はもう立派な紳士です。主人として他の者への配慮は忘れてはなりません」
三人が食堂に着くとベスが言ったとおり、五人が着席していた。レディー・ブラフマンは着席したまま、目配せすることもなくメレディスとラファエルがディナーを土壇場で欠席した事実を忠告した。
「申し訳ありません。配慮不足でした」
ラファエルは腰を折り、静かに謝罪した。
「いいえ、レディー・ブラフマン。ご子息は悪くありませんわ。きっとメレディスが無理難題を言ってご迷惑をおかけしたのです」
エミリアはメレディスを責めた。彼女は皆の前でメレディスを貶める作戦だ。そうやって自分たちを正当化してあわよくば愛娘のジョーンを気に入ってもらえるよう考えているのだ。
叔母のぶしつけな考えには癪に触るが、レディー・ブラフマンの発言は最もだ。昨夜、たしかにメレディスは無断でディナーを欠席してしまった。しかし、ラファエルと湖で会う約束をした当初、いったい誰が彼と愛を交わすことを想像できただろう。
だって、まさか過去に手放す羽目になった両親の形見であるブローチと愛馬という宝物をラファエルがプレゼントしてくれるなんて思いもしなかったのだ。あんなに心を揺さぶられた出来事は生まれて初めてで、だからこそメレディスはラファエルの愛を信じられた。自分が愛する男性は生涯彼以外に存在しないと実感したのだ。