今宵は天使と輪舞曲を。
「わたし、貴方とのこと」
ラファエルによる甘い誘惑はお菓子よりもずっと厄介だ。彼には何を話そうとしていたのかを忘れさせる魔法を持っている。
重なった唇が離れると、メレディスは必死に頭を回転させて口を開く。するとすぐにまた彼の唇がメレディスを塞いだ。
「レディー・ブラフマンに認められる、なんて――なんてまだ信じられないの」
啄むようなキスに頭がくらくらした。甘い口づけに何度も止められ、その度にメレディスは鼻にかかった声で話した。
内に炎を秘めた濃いエメラルド色の目がメレディスを射抜く。たったそれだけで体が燃え上がるように熱を持つ。
メレディスは身を捩り、ラファエルの胸板に手を当てる。
彼の心臓もまた、メレディスと同じように速く鼓動している。メレディスは嬉しくなってたくましい彼に身を預けた。そして自分が女性であることを心から喜び、神に感謝した。
「君はとても綺麗だ。もちろん心も。それにぼくの命も救ってくれた。勇敢で気高く心が美しい女性をブラフマン家は好む。――ぼくが今、ここにこうして存在しているのもすべて君がいてくれたからこそだ」
惑わすように動くラファエルの手は骨張っているのに、とても柔軟だ。彼は腰を包み込み、あるいは胸の膨らみを優しく撫でた。その仕草も、視線も、声も――すべてがメレディスを誘惑する。
自分はいつの間に倒されたのか、メレディスが気づけばソファーの上に横たわり、ラファエルを見上げていた。
また、彼の唇がメレディスを塞いだ。ドレスの生地の上にあった骨張った大きな手はドレスの前を開いていく。