今宵は天使と輪舞曲を。
小さな無数の埃が浮いている不潔なはずのこの空間は――けれども今朝に限ってはそれらさえ問題ではないと思えた。小さな埃が明るい陽光を浴びて乱反射し、輝いているようにも見える。
まるで――そう。昨夜訪ねたブラフマン伯爵邸で見た光輝くシャンデリアのように……。
昨日は夢のような夜だった。
会場に着いたメレディスがいつものように壁に張りついていると、彼女たちブラフマン弟妹がやって来たのだ。
二人はメレディスが没落貴族であることさえも気にしない様子で接してくれた。そうかと思えば彼女の立場を理解し、心ない叔母たちの行為を自分のことのように傷つき、怒りさえも表現してくれたのだ。
キャロラインは第一印象のとおり、とても茶目っ気のある可愛らしい女性だった。そしてラファエルは――。
彼と過ごした時間はメレディスにとってとても刺激的だった。
遠目からでも分かるほど彼はハンサムだったが、近くで見るとさらに美しかった。
茶色に近い深みのある濃い金髪は肩に流れていて、慈愛に満ちた目は緑色に縁取られ、高い鼻梁とすぐ下にある薄い唇に骨張った輪郭。男性的で精悍な顔貌。彼の容姿はまるで名だたる芸術家が手がけた彫刻のようで、無駄な筋肉ひとつない体は若々しく張りがあり、エネルギッシュだ。ズボンの上からでも見て取れる引き締まったヒップに長い足。その名のとおり、天使と見紛うばかりだった。