今宵は天使と輪舞曲を。

§ 07***苛立ちと嫉妬。




 社交パーティーでメレディス・トスカと出会ってから三日が過ぎた。以来、ラファエルの思考の大部分は彼女が占めていた。あまりにも彼女のことばかり考えていたからか、挙げ句の果てには夢にまで出てくる始末だ。

 夢の中は決まってベッドシーンから始まる。それも一糸も纏わぬ姿で、だ。

 ラファエルの夢の中の彼女はとても積極的だった。

 絹のように艶やかな長い金髪をベッドに散らせ、たおやかに横たわる姿は美しく、ラファエルを高揚させた。長い髪のひと房を手に取って口づけると、彼女は甘い声で彼を誘惑する。月の光が女性らしい体の輪郭をなぞる。彼女は頬を薔薇色に染め、ラファエルの名を呼ぶ。そうして二人は互いに体を絡ませ、やがて絶頂に昇る。

 そういった彼女の夢を見続けているから、おかげでラファエルの体が反応し、ありとあらゆる部分が硬くなってしまう。

 ラファエル自身は明らかに女性を欲している。自らの硬くなった楔を柔らかな肉体の中に埋め、欲望を解放したいと訴えている。
 それなのに、いったいどうしたことか。体はこんなにも女性を欲しているにもかかわらず、彼女以外の女性を受け付けなかった。

 たしかに、これまで原始的な欲望を抱くことは多々あった。それは一般男子ならあって当たり前だし、健康な証拠だとも思う。

 しかし、ラファエルに至っては一人の女性にこれほどまでに執着した経験なんてなかった。


< 74 / 358 >

この作品をシェア

pagetop