今宵は天使と輪舞曲を。
偉大なる我が従兄は相変わらずの色男っぷりを発揮しているらしい。
彫りの深い目鼻立ちに均衡のとれた体つき。ブラフマン家の親戚筋もまた美形揃いだ。おかげで女性に困ることがない。
意図も簡単に女性を射止めてしまう甘いマスクを利用する彼の行動を母レニアはいたく気に入っていた。
実際、貴族たちの間では女性を取り巻く男こそ立派な紳士だといわれている。母レニアも例外ではなく、男は従兄のベオルフのように振る舞うべきだと常に彼を褒め称えているが、実のところ、ラファエル自身は従兄の女性に対する軽い態度はどうかと思っている。
様々な女性にばかり気を取られるより、ただひとりの女性を愛する方がずっといい。そう思う自分の方が世間体からずれているのだろうか。
――しかし。こういう部分さえなければベオルフは理知的で社会的知識もある。頼りにはなるのだが、いかんせん美しい女性を目にすると糸が切れた凧のように自由奔放に振る舞うのがたまに傷だ。女性のこととなると家や領地が放ったらかしになるのはどうだろう。
「ぼくのことよりも叔母上は女性から逃げてばかりだとたいそう君たちを心配しているよ?」
そう思うのなら、せめて今だけはそっとしておいてほしいものだ。
とりわけ、メレディス・トスカが目と鼻の先にいる時は!!