今宵は天使と輪舞曲を。
ラファエルは、未だ隣で女性についてなんたるかを解説している親戚を余所に、ワインが入ったグラスを支給係からひとつもらい受けると壁際にいるメレディス・トスカの元へと急いだ。
この後、おしゃべりな親戚の口からミス・トスカとの仲を疑われ、スキャンダルの元にされても構わない。――いや、むしろその方が何かと好都合だ。さすがのエミリア・デボネも自分たちふたりのスキャンダルが公になれば彼女を会場に連れて来ざるを得ないだろう。
ラファエルは彼女の名誉を守るため、急ぎ足で問題の場所へ向かった。
《苛立ちと嫉妬・完》