今宵は天使と輪舞曲を。
そもそも今夜、ピッチャーとこうなったきっかけは、ここにいるラファエル・ブラフマンにある。
彼はどういう性格をしていて、どんなふうに笑うのだろう。
女性を抱きしめる腕の強さや口づけはメレディスが想像している世界と同じものなのだろうか。
ハンサムな彼を前に、またしても空想の世界に浸ったメレディスの体が熱を持つ。両胸の頂きがつんと尖り、コルセットの下で強調しているのを感じた。
メレディスはうめいてしまいそうになるのを必死に押し殺し、緊張で乾燥した下唇を舐めた。
「そうね。ありがとう。気分があまりよくなくて、飲み物をお願いしていたの……」
緊張で喉がぎゅっと縮こまる。声が掠れてしまうのは果たして忌々しいピッチャーが隣に立っているからなのか、それともハンサムなラファエルが目の前に立っているからなのか。
いったい自分の身に何が起きているのかよく分からなくなってしまった。
「さっきよりもずっと顔色が優れないようだ。少し夜風にでも当たろうか」
ラファエルが右肘を差し出し、メレディスを誘った。
その仕草はまるで、メレディスとは旧知の仲であるかのようだ。もちろん、ラファエルとは三日前の社交界で知り合ったばかりだし、そこまで言葉を交わしたわけでもない。
それなのに、あまりにも自然な仕草でメレディスを誘うから、疑いもなく頷いてしまった。
「そうね。是非お願いしたいわ」