今宵は天使と輪舞曲を。
メレディスは紳士的な態度を貫くラファエルに自信がないまま微笑みかける。その微笑はとても頼りなげに見えたことだろう。
「違う! 君はとても美しいし、他の貴婦人にはないユーモアだってある。それに優しい女性だ!」
彼の力強い腕がメレディスの両肩を掴んだ。
つり上がった眉に深い緑色の目。高い鼻梁の下にある大きくて薄い唇。引き締まった顎は男性的で角張っている。ああ、彼はなんてハンサムなのかしら。けっして十分だとは言えない照明の中でもラファエルの美しさは健全だ。
向かい合うようにして真正面からハンサムな彼を見上げてしまえば最後、メレディスは彼から目が離せなくなってしまった。強い引力に導かれてしまう。
薄い唇がメレディスの口を塞ぐ。それは優しい、ただ触れるだけの口づけだった。それでもメレディスには充分すぎる効力があった。みぞおちの辺りに炎が灯る。
もっと彼を感じたくてたくましい背中に両腕を回せば、彼もまたメレディスの腰を引き寄せた。触れるだけの口づけはやがて徐々に変化していく。
互いの唇を強く押しつけ合うと彼の大きな手が後頭部に回った。上を向くよう暗に促される。
口づけさえも知らないメレディスはただラファエルに翻弄され続ける。息苦しくなって口を開けば、弾力のあるしなやかな彼の舌が滑り込んできた。上顎から下顎に向けて我が物顔で蹂躙する彼の舌はまるで別の生き物のようだ。メレディスの舌を捕らえた彼は形状を確かめるように表面をなぞり上げる。