内部破綻の殺人鬼
「彼らになにか酷いことをされたのかい」
「別に、何も」
「でも君が殺したのかい」
「そう」
少年の声色は無機質で、なにか文句でもあるかと言い返されそうな予感さえした。
少年は立ち上がって膝の埃を払うが、手についた血痕がまだ乾いていないらしく、ベージュのズボンに紅い跡が増えた。
やはり身なりはいい。
顔を上げた少年の左の瞳は、鮮血のように紅かった。
「前に会ったことありますか」
少年は私に問うた。
思わず私は唇を緩め、嬉しさのあまり乾いた唇を舐めた。
君だったか。
「嗚呼、あるよ、数百年も前の話だけれど」
「そう」
少年は冗談だなんて思っていないらしい。
笑わず受け止めているのがその証拠で、もう四分の一ほどは思い出しかけているらしい。
この世に生を受けてまだ10年と少しというところではあったが、彼にしてはかなり遅めの復活じゃあないか。