内部破綻の殺人鬼
「人を殺すのは罪だと思うかい」
「思います」
「なら尚更、君のそれは直らない」
なにせ彼の生に刻まれた一章の烙印だからだ。
その理由を知れば、思い出しきれない自分の性におそらく彼は絶望することだろう。
彼の左胸に、紅い花と狼がデザインされたエンブレムを見つけた。
どうやら彼は、例によって例のごとく、人に刃を向けるべき家柄に生まれてきたらしいのだ。
また彼は逃れられない。
「直る筈がないんだ、だって、ずっとずっと前に君自身が『そうなるように』刻んだ、君のための枷なんだから」
「…どういうこと」
「子供にはまだ、理解は難しいね」
私は微笑みながら手を差し伸べた。
瞬間に、少年の背後の壁に亀裂が走り、がらがらと破片が落ちる音がする。
少年は驚いても、そこを避けようとはしなかった。
ほらね。