内部破綻の殺人鬼
「…また、ずいぶんとカビ臭い話を持ち込んで何が楽しいんだお前は」
「君の幼いころの話をカビ臭いというのなら、僕らの前世の話はなんだい、腐ってでもいるのかい」
「お前とする昔話なんてとっくに焼き捨てた」
「ひどいねえ」
まあ、こうして一緒にお茶を飲めるくらい警戒を解いてくれたということは、昔に比べて彼もずいぶん丸くなったものだ。
…いや、正直言って丸くなりすぎて私としてはつまらない。
もっと殺伐として、何物をも寄せ付けない絶対の暗黒を纏う彼の方が美しかったと思う。
丸くなった要因は、常に彼に付きまとう幾つかの影だ。