風の音色
「わぁ~、スッゲー広い草原だなぁ~!」

海斗と陸斗は草原を歩いていた
あまりの広さに、陸斗は興奮していた

「ちょっと、陸斗…そんなに急ぐと疲れるよ」

後ろをゆっくりと歩く海斗は、小走りで歩く陸斗に言うが陸斗には聞こえていないようだ
陸斗はどんどん先に進む

「ちょ…陸斗、待てよ」

どんどん離れていく陸斗を追いかける海斗

「わぁ~、スゲースゲー!」

陸斗には海斗の声は届いてないらしい…
遠くに続く草原と空を見ながら進む

「え?ぎゃっ!!」

急に地面が無くなり陸斗は落ちた

「ったく…遠くばかり見てるからだよ」

段差の上で海斗が呆れた顔をして
下に落ちた陸斗を覗きこむ

「いって…何でこんなとこに段差があんだよ…」

フッと上を見上げた陸斗は固まる
それにつられ、海斗も上を見上げる

「な…空に穴!?」
「あれって、俺達を吸い込んだ…」

穴は急に高度を下げ2人に近づく

「ヤベ、来るぞ!」
「早く逃げるよ」

海斗は段差を飛び降り
陸斗は慌てて立ち上がり、走りだした

「な、何でこんなとこにアレがあんだよ!?」
「僕が知るわけないでしょ!
吸い込まれたく無かったら、文句言わないで走る!」

全力で走って逃げる2人
それを追いかける黒い穴

「クソ、全然撒けない!」

陸斗が後ろを振り返り、確認した

「なっ…!?」

その瞬間穴は瞬間的に早くなり2人を飲み込んだ

「ん…」
「ココ何処?」

2人は暗闇の中に立っていた
暗闇なのに、お互いの姿はしっかり見てとれる

「誰かいねぇーのか!?」

大きな声で陸斗が呼びかけるが何の返事も無い

「誰もいないみたいだね」
「マジかよ!?
おーい誰かー!」
『聞こえてるよ』
「「!!!?」」

再び大きな声で叫ぼうとした陸斗の後ろから
声がした
慌てて振り向くと、そこには少年が一人立っていた

「お、お前、なんなんだよ!?
つか、急に背後に立つな!!!」

陸斗は少年と距離とる
少年は別段動くこと無く立っている

「オレは時空の管理人だよ
君たちがココにきた事話しておこうと思って」
「な!?お前が原因なのか!?」
「正確には、オレの兄貴が原因
兄貴が昼寝してて歪が出来たんだ
で、仕方ないからオレの管理するこの世界に転送したわけ」
「…お兄さんとかいるんだ…」

時空の管理人に兄弟がいることに驚く海斗だった
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